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第65回米国神経学会の報告

f0183250_19262235.jpg第65回米国神経学会(American Academy of Neurology, AAN)が、2013年3月16日から23日までカリフォルニア州サンディエゴのコンベンションセンターで開催されました。仙台を出るときは冬用コートを着ていましたが、サンディエゴはとても温かくコートは不要でした。AANは世界最大の神経内科の学会であり、MS、NMOのみならず神経内科領域のあらゆる疾患の臨床、病態、治療など関する最新情報の発表が行われました。
当科からは黒田先生、ダグラス先生と藤原が参加しました。
 
MSのトピックスもたくさんありますが、以下にはNMOに関するいくつかの話題を紹介します。
NMOに関する教育コースでは、メイヨークリニックのピトック先生が具体的な症例を提示し、アクアポリン4抗体検査としてELISAでの低い値の陽性の場合は、実際には臨床やMRI所見からはNMOではなくてMSと判断され治療した症例が紹介されました。すなわち検査結果が偽陽性だったということです。逆に検出感度が低いための偽陰性の場合もあり、注意が必要だということが指摘されました。
 
日本からのポスター発表では、東京女子医大の清水先生の日本人のNMOの患者さんの妊娠出産時の再発率に関する研究が特に注目され、学会のハイライトに選ばれました。NMOの患者さんの多くは女性ですが、特に出産後の半年には妊娠前や妊娠中の時期に比べて再発が著明に増加する傾向が見られました。これまで、胎児への影響を考えて妊娠したら基本的にすべての薬をやめるというのが一般的な考え方でしたが、この結果をみるとNMOの患者さんが無治療で出産に向かうのは危険だと思われます。そこで最近当科では、アクアポリン4抗体陽性の患者さんが妊娠したら、ステロイドやイムランの内服を継続して再発予防を続けながら妊娠出産することを個々の患者さんと相談しながら進めています。胎児の安全と共にお母さんとなる患者さんの病状が悪化しないように注意を払うことが重要と考えています。

f0183250_19274075.jpgダグラス先生は、多数例における高感度のアクアポリン4抗体検査の結果から、現在のNMOやNMO Spectrum Disorderの基準を満たさない症例の中にも一部は抗体陽性例があることを報告しました。これは従来のNMOの概念より広い範囲の患者さんがこのグループに属することを示しており、特に治療を選択する上で重要です(MSの治療薬でNMOが増悪することが報告されていますので。)。発症早期にアクアポリン4抗体検査を実施することの大切さを再認識させる研究結果といえます。

NMOの新たな診断基準を作成するための国際委員会も開催され、どのような臨床症候や検査所見が診断上重要であるかが検討されました。今後さらに議論を重ねて、今年中旬ごろには新基準をまとめようということになりました。

また黒田先生は、一酸化炭素中毒の間歇型(遅発性脳症)の発症リスクと重症度に関する研究で、昨年に引き続き口演に選ばれました。年齢や間歇期の期間、またMSの脱髄マーカーである髄液のミエリン塩基性タンパク濃度などが重要であることを明らかにしました。

次回のAANは、2014年4月26日から5月3日までペンシルバニア州のフィラデルフィアで開催されます。(藤原)


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by multiplesclerosis | 2013-03-26 19:28 | 学会報告
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