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震災の仙台から(7):原発、放射能への不安

 今回の地震と津波によって福島第一原発の施設・設備に被害が及び、原子炉や使用済み燃料棒の冷却ができないことによる異常な放射能の発生とその飛散の悪影響が日々問題になっています。当院の震災対策会議でも震災発生の翌週早々からこのことに対して懸念する声がたくさんあがりました。勤務のため外出していいのか、雨にぬれるとどうなるのか、どのレベルの放射能になると外出しないほうがいいのかあるいは退避しなければならないのか、などさまざまな具体的な質問が出ました。実際に家族、特に子供や若い女性を他の地域に避難させた職員もいます。

 このため朝夕の会議では大学病院エリアにおける放射能レベルが発表されています。現在は0.2マイクロシーベルト/時間程度で推移しており、特に上昇などはみられておりません。このような情報は院内各部署で日々報告されています。また核医学が専門の先生から放射能のレベルとその人体への影響などに関する基本事項の解説もあり、現時点で仙台での生活において放射線被爆について心配する必要はないとのことでした。当院では県とも連携して、比較的原発に近い地域から受診された患者さんにおいて必要な場合には放射能被曝の検査が行われていますが、これまでに大きく問題になる被爆例は経験されていないようです。

 しかし、一般市民の間では日々不安が募っています。原発の温度の上昇や建屋から煙が出たとの報道や欧米諸国が自国民を日本から退避させようとしていることに加えて、近県の野菜や東京都の浄水場の水における基準値を超える放射能の検出は市民生活に大きな影響を及ぼしています。福島県の隣なのに宮城県の放射能に関するデータがあまり出ないことを不審に思っている人もいます。また毎日の天気予報で原発との関連で風向きを気にしている方々も少なくないと思われます。我が家でも家内の強い要望で、私が通勤する際には帽子をかぶりマスクをし、ビニールのレインコートを着ています。

 原発の現場では、毎日昼夜を分かたず電源を復旧し冷却システムを再稼働すべく関係者の必死の努力が続いています。またそれまでの応急措置として、特殊な機材や車両を用いて消防や自衛隊の方々による懸命な注水作業が連日行われています。この原発問題の解決なくして今回の震災からの復興はありえません。一日も早く終息に向かってほしいものです。(つづく) (藤原)


by multiplesclerosis | 2011-03-24 16:00 | お知らせ
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