第3回ガシー・ジャクソン財団テーブルラウンドミーティング
11月8日~10日の日程で、Guthy-Jackson慈善財団の第3回ミーティングがビバリーヒルズのヒルトンホテルで開催されました。お子さんがNMOを発症されたご夫婦による慈善団体で、米国の主要な研究機関に研究助成を行っており、毎年その報告と、患者の交流を目的としたミーティングを開催しています。昨年に引き続き招待をいただいたので、参加して30分の講演をしてきました。
年々規模が少しずつ大きくなっていますが、今年は日本とイギリスだけでなく、フランス、アルゼンチン、イタリアなどからも参加がありました。
研究報告は、昨年に引き続き、サンフランシスコのVerkman教授のラボの仕事が注目されていました。脊髄スライスモデルを開発し、培養ディッシュ上に薄くスライスした脊髄をそのまま培養して患者血清に対する病理学的な変化を観察しています。BBBが初めから崩壊しているという問題点はありますが、今回は、好中球が抗体による補体依存性の組織障害を増幅させるという興味深いデータを出していました。また、アクアポリン4に結合し、NMO-IgGの作用を阻害するモノクローナル抗体の作成にも取り組んでいるほか、既存の化合物の中でも、ベンゾアミドチアゾールなどがアクアポリン4の抗原抗体反応を妨げる可能性があるとして臨床応用を検討すると発表していました。
メーヨークリニックのLucchinetti教授は、NMOの病変形成の初期に好酸球の浸潤のあることを重要視していました。好酸球の活性化が遊走に関わるエオタキシンと呼ばれる物質に注目し、このエオタキシンに対するモノクローナル抗体治療の臨床試験を検討しているとのことでした。その他のグループからも、IL-7受容体阻害、セリンプロテアーゼ阻害、エラスターゼ阻害など、いろんな治療ターゲットの可能性を示唆する報告があり今後の治療法の開発が非常に楽しみです。
オックスフォード大とメーヨークリニックの共同研究で、いくつかの抗アクアポリン4抗体の測定法の比較が行われ、当院でも用いている培養細胞アッセイ法とそれを応用したFACS法がともに感度約80%と最も高く、従来の組織染色法では60%の陽性率しかなく、両者にかなりの差があることが明らかになりました。近く論文として投稿される予定ですが、米国などで抗体陰性NMOとして扱われてきた症例の半数は陽性である可能性が出てきたことで、ようやく抗体測定の重要性がより認識されることになりそうです。
2日目の午後には、参加者を6つくらいのグループに分けていくつかのテーマについてワークショップ形式で議論しました。抗体陰性NMOの存在について再認識する必要があること、動物モデルでは好中球や好酸球の影響が明らかにできないこと、急性期治療に関する臨床試験の必要性があることなどが議論されました。
2日目の夜は、共同研究を進めるオックスフォードのメンバーと夕食に出かけました。Vincent教授を含め、とても気さくで話が合うので今後の発展が楽しみです。
年々規模が少しずつ大きくなっていますが、今年は日本とイギリスだけでなく、フランス、アルゼンチン、イタリアなどからも参加がありました。
研究報告は、昨年に引き続き、サンフランシスコのVerkman教授のラボの仕事が注目されていました。脊髄スライスモデルを開発し、培養ディッシュ上に薄くスライスした脊髄をそのまま培養して患者血清に対する病理学的な変化を観察しています。BBBが初めから崩壊しているという問題点はありますが、今回は、好中球が抗体による補体依存性の組織障害を増幅させるという興味深いデータを出していました。また、アクアポリン4に結合し、NMO-IgGの作用を阻害するモノクローナル抗体の作成にも取り組んでいるほか、既存の化合物の中でも、ベンゾアミドチアゾールなどがアクアポリン4の抗原抗体反応を妨げる可能性があるとして臨床応用を検討すると発表していました。
メーヨークリニックのLucchinetti教授は、NMOの病変形成の初期に好酸球の浸潤のあることを重要視していました。好酸球の活性化が遊走に関わるエオタキシンと呼ばれる物質に注目し、このエオタキシンに対するモノクローナル抗体治療の臨床試験を検討しているとのことでした。その他のグループからも、IL-7受容体阻害、セリンプロテアーゼ阻害、エラスターゼ阻害など、いろんな治療ターゲットの可能性を示唆する報告があり今後の治療法の開発が非常に楽しみです。
オックスフォード大とメーヨークリニックの共同研究で、いくつかの抗アクアポリン4抗体の測定法の比較が行われ、当院でも用いている培養細胞アッセイ法とそれを応用したFACS法がともに感度約80%と最も高く、従来の組織染色法では60%の陽性率しかなく、両者にかなりの差があることが明らかになりました。近く論文として投稿される予定ですが、米国などで抗体陰性NMOとして扱われてきた症例の半数は陽性である可能性が出てきたことで、ようやく抗体測定の重要性がより認識されることになりそうです。
2日目の午後には、参加者を6つくらいのグループに分けていくつかのテーマについてワークショップ形式で議論しました。抗体陰性NMOの存在について再認識する必要があること、動物モデルでは好中球や好酸球の影響が明らかにできないこと、急性期治療に関する臨床試験の必要性があることなどが議論されました。
2日目の夜は、共同研究を進めるオックスフォードのメンバーと夕食に出かけました。Vincent教授を含め、とても気さくで話が合うので今後の発展が楽しみです。
by multiplesclerosis
| 2010-11-10 16:35
| 学会報告