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低用量ナルトレキソン療法によるMSのQOL向上

ナルトレキソンは、海外では以前から麻薬中毒やアルコール依存症の治療薬として用いられてきた薬で、日本では販売されていません。麻薬の一種ですが、他の麻薬系薬剤やアルコールの受容体への結合を阻害します。痛みに対する治療としても用いられています。

ナルトレキソンナルトレキソンを非常に低用量で内服することで、抗腫瘍効果が認められると報告され、抗癌治療の補助薬としても現在注目されている薬剤です。

アメリカのUCSFのMSセンターのグループが、この低用量ナルトレキソン療法を多発性硬化症患者80人に対して、40人ずつのトータル17週間(8週間ずつ)のクロスオーバー試験を行い、Annals of Neurologyの電子版に報告しています。

評価にはSF-36というQOLの評価尺度を用いており、治療前後におけるSF-36の変化を解析しています。結果は、ナルトレキソン投与群で有意に「心の健康」尺度における改善が見られたそうです。MS患者さんのQOLを向上させる究極の対症療法と言えますが、長期投与における安全性は全く不明です。

さらに注目したいのは、この臨床試験の経済的サポートを患者さんが行っているということです。

Cree B, et al. Pilot trial of low dose naltrexone and quality of life in MS. Ann Neurol 10.1002/ana.22006 (Published Online: 19 Feb 2010)


by multiplesclerosis | 2010-03-04 19:29 | 文献
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