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第4回仙台MSセミナー医療講演会報告

f0183250_1912363.jpg平成24年10月27日に第4回仙台MSセミナー医療講演会をとても見晴らしのいいアエル21階のTKPガーデンシティ仙台で開催しました。参加人数は90名近く、初めて参加された方もとても多かったようです。

今回の講演は、北海道医療センターの臨床研究部長である新野正明先生に多発性硬化症の病気の原因や治療法について、さっぽろ神経内科クリニックの西山和子さんに多発性硬化症患者さんのサポートについて、当教室の三須先生に視神経脊髄炎の研究についてお願いしました。

講演後は、初めての試みとして、パネルディスカッションを行いました。新野先生、西山さん、三須先生の他、藤原教授、広南病院の佐藤滋先生、東北厚生年金病院の藤盛寿一先生にもパネリストに加わってもらい、フィンゴリモドについて、これから期待される新薬について、iPS細胞について、後遺症について、医療機関との付き合い方について、のご意見を聞かせていただきました。会場からの質問もあって、いい内容だったと思います。

これからアンケートを集計し、来年の計画に生かしていこうと思います。


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by multiplesclerosis | 2012-10-28 19:14 | 講演会報告

ガシー・ジャクソン慈善財団ミーティング報告

f0183250_1052859.jpg2012年10月22日~23日の日程で、ロサンゼルス空港近くのホテルにおいて第5回のガシー・ジャクソン慈善財団(GJCF)主催のラウンドテーブルミーティングが開催されました。GJCFは、視神経脊髄炎(NMO)の原因究明と治療法開発を目的に、創設者であるビル・ガシー氏とビクトリア・ジャクソン氏夫妻による私財によって5年前に設立された財団です。全米の主な研究機関に研究助成を行っているほか、国際共同研究の推進、研究ミーティングの開催、講演会の開催、ウェブサイトや出版物を介したNMOの啓蒙活動などに取り組んでいます。これまでに財団の支援によって多くの研究成果が挙がっており、いくつかの新規治療薬の臨床試験も実際に始まっています。

今年のミーティングには、12カ国から75名の研究者が集まり、2日間にわたってNMOに関するいろいろな議論を交わしました。日本からは、東北大から中島と佐藤ダグラス、国立精神・神経医療研究センターから山村隆先生が参加しました。山村先生がご報告したIL-6受容体抗体トシリズマブによる臨床効果、特に痛みに対しての効果は非常に関心の高い話題のひとつでした。

トシリズマブ以外の新規治療薬の候補として以下のものが今回取り上げられていました。

1.エクリズマブ:血液中の補体成分、C5に結合するモノクローナル抗体で、補体依存性の細胞障害を抑える働きがあります。発作性夜間ヘモグロビン尿症ですでに認可されている薬剤です。メイヨークリニックが主体となって進めている臨床試験では非常に高い効果が示されたものの、高い薬価と、髄膜炎菌などによる感染症のリスクが問題になっています。

2.アクアポルマブ:アクアポリン4に結合する、補体活性化機能を持たないモノクローナル抗体で、血液中の抗アクアポリン4抗体がアクアポリン4に結合するのを阻害します。今後、臨床試験開始に向けて準備が進められる予定です。長期投与における中和抗体の出現の可能性などについて懸念が示されました。

3.バクテリア由来糖鎖切断酵素S(EndoS):病原性を持つ抗アクアポリン4抗体に作用し、 脱グリコシル化作用で補体依存性の細胞障害活性を失わせます。つまり、酵素の働きで病原性のある抗体を無毒化し、アクアポルマブと同様の機序でアクアポリン4を保護する薬として新たに開発されました。他の抗体も無毒化されるため、やはり細菌感染などのリスクが問題になりそうです。

4.シベレスタット:好中球由来のエラスターゼ活性を阻害する薬剤で、急性呼吸窮迫症候群に対して日本でのみ認可されている薬剤です。NMOの急性期病変の形成には好中球の関与も指摘されており、再発時に投与することで組織障害の程度を軽減できる可能性があります。

5.セチリジン:抗アレルギー剤として日本でも認可されている経口剤です。好中球と同様、NMOの急性期病変の形成に好酸球の関与が指摘されており、セチリジンがNMOの病変形成に抑制的に働くことが動物実験で確認されています。服用しておくことで、再発症状が軽減される可能性が指摘されています。

この他にも、リツキシマブ(抗CD20抗体)、血漿交換などの一般的な治療法の適用方法、抗アクアポリン4抗体の抗体価を含む疾患バイオマーカーの必要性とその候補などについて話し合われました。また同時に、NMOの新たな診断基準の確立のための話し合い、国際共同研究としての共通データベースの構築と、検体バンクの設立のための話し合いも進められました。


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by multiplesclerosis | 2012-10-26 10:08 | 学会報告

ECTRIMS 2012

f0183250_12472056.jpg2012年10月10日~13日の期間、フランスのリヨンで第28回ヨーロッパ多発性硬化症会議(ECTRIMS)が開催されました。年々規模が大きくなるECTRIMSですが、今年は7000人以上の参加があったようです。多発性硬化症というひとつの病気の診療と研究に関わる人のみが参加しているにもかかわらず、数日間で7000人以上も集まるのは驚異的です。当然、多発性硬化症の診療と研究に関するありとあらゆるテーマが議論の対象となり、MS以外の話題はありません。

リヨンは第1回のECTRIMSが開催された都市であり、この時は参加人数180人だったそうです。また、デビック病(NMO)のデビック先生の地元でもあります。

今年のECTRIMSは大きな話題に乏しかったものの、昨年日本でも承認されたフィンゴリモド(ジレニア/イムセラ)の他、今年アメリカで承認されたテリフルノミド、臨床試験中のラキニモド、BG-12、新しいS1P受容体作動薬のポネシモドなどの経口治療薬の臨床試験結果や展望についての講演が目立ちました。ポスター演題でも、フィンゴリモドの長期投与試験、ONO-4641を初めとするフィンゴリモド以外のS1P受容体作動薬の開発状況、テリフルノミド、ラキニモド、BG-12などの開発中の経口薬の良好な臨床試験結果が発表されていました。

f0183250_1247585.jpgNMOに関しては、精神・神経医療研究センター病院の荒木先生や山村先生が発表されたトシリズマブの再発予防効果が注目されていましたが、ルール大学からも、リツキシマブに治療抵抗を示した3例のNMOで劇的にトシリズマブが効いた、と発表がありました。今後の開発が期待されます。UCSFからはMSで開発中のアレムツズマブが効果を示したNMOの1例が報告されていました。同じくUCSFからは、NMOの病変形成に好酸球の関与を示唆する実験結果が報告され、その好酸球の抑制に、ある種の市販済みの抗アレルギー剤が有効であることも発表されていました。

新しい治療法がどんどん開発されていて、いずれも効果が高く期待はできますが、むしろこれだけオプションが増えると、高い効果よりも安全性が重視される傾向が強くなると予想されます。例えば、すでにドイツなどで長年乾癬治療に用いられているBG-12は胃腸障害が目立つものの重篤な副作用の報告がなく、次世代のMS治療薬として最も期待が高い印象です。また、高脂血症治療剤による進行抑制効果、ビタミンD製剤によるインターフェロンβとの相乗効果、イブジラストによる脳萎縮抑制なども報告されており、安く安全な治療法の開発も報告されていました。


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by multiplesclerosis | 2012-10-14 12:55 | 学会報告
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