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免疫性神経疾患に関する調査研究班班会議

1月27日~28日で、東京の都市センターを会場に平成21年度の厚生労働省科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 免疫性神経疾患に関する調査研究班の班会議が開催されました。

初日の27日はMSやNMOを中心とした調査研究の成果発表で、NMOに関して興味深い発表がいくつかありました。

一つは、新潟大学の佐治先生のご発表。MSで認知機能の障害が進行しうることは知られていますが、NMOでも高次機能をいくつかのテストで評価すると健常人と比較して有意な低下が認められたというもの。NMOでも神経変性機転が存在するのか、非常に興味深い点です。

もう一つは埼玉医大総合医療センターの小島先生のご発表。長い脊髄病変を有する再発性脊髄炎の33症例を抗AQP4抗体陽性群と陰性群で分けて解析したもの。抗AQP4抗体陽性群はNMOとして全く問題ない臨床経過でしたが、陰性群で視神経炎のない男性症例が1/3を占めていたことが興味深かったです。韓国で報告された再発性脊髄炎に類似の病態かもしれません。

さらに、宇多野病院の松井先生のご発表も興味深いものでした。イギリスのRSR社が開発した抗AQP4抗体測定用のELISAキットの有用性を検証されています。金沢医大の田中先生が測定するAQP4強制発現細胞を用いた間接蛍光抗体法で陽性だったNMO患者血清をELISAキットで測定したところ、その82%で陽性となったとのことです。偽陽性はなく、特異性は十分高いようですが、抗体価の低い症例では陰性になってしまう傾向があったようです。スクリーニングに用いるには適したキットかもしれないけど、臨床的にNMOが強く疑われるのに陰性の場合は、高感度の間接蛍光抗体法による確認が必要であろうとのことでした。

他の発表においても、その多くはNMOの診断を血清抗AQP4抗体の有無に委ねており、もはや臨床経過や病変分布よりも抗AQP4抗体の測定の方がよほど重要であることが明確になっています。そういう意味で、感度の低い測定キットが出回ることにはかなり危惧しています。


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by multiplesclerosis | 2010-01-28 22:09 | 学会報告

第2回仙台MSセミナー医療講演会について

1月16日の医療講演会が好評だったのと、定員オーバーで聴講をお断りした患者さんが多数おられたことから、11月初めに第2回の医療講演会の開催を検討しています。

現時点では、前回と同様のプログラムで、MSとNMOに関する医療講演をそれぞれ1題ずつと、医療相談も兼ねた患者さん同士の交流会の組み合わせを考えています。

医療講演の内容や、交流会の形式などに関してご要望やご提案がありましたら、この記事のコメントもしくはメールにてお知らせください。


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by multiplesclerosis | 2010-01-26 11:07 | 講演会情報

4アミノピリジン製剤(AMPYRA)がFDAに認可される

Acorda Therapeutics社は1月22日、同社が開発した持続性の4アミノピリジン製剤(AMPYRA錠、一般名dalfampridine)が多発性硬化症の歩行速度改善を目的とした治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に認可されたと発表しました。

AMPYRA錠は以前はFampridine SR錠という名称で開発が進んでいましたが、承認を機に商品名をAMPYRAとしたようです。Acorda社のサイトではAMPYRAの専用サイトも準備されています。

AMPYRAは脱髄による神経伝達障害を改善することで運動機能を回復させる効果が期待できますが、脱髄そのものを修復する薬ではなく、後遺症に対する対症療法として用いられることになります。

とはいえ、MSの対症療法に特化した製剤がFDAに認可されたのは初めてのことです。また、AMPYRAは疲労改善やウートフ兆候の改善にも効果が期待できるため、多くのMS患者さんで有用な治療薬となる可能性があります。

Acorda社のAMPYRA専用サイト(英語)
http://www.ampyra.com/home/

CNNのレポート(英語)
http://edition.cnn.com/


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by multiplesclerosis | 2010-01-23 23:57 | ニュース

FTY720とクラドリビン

1月20日付けのThe New England Journal of Medicine電子版でMSの経口治療薬の臨床試験結果に関する3つの論文が同時に掲載されました(フリーアクセス)。

1つはノバルティス社(日本では田辺三菱製薬と共同)が開発するFTY720(フィンゴリモド)錠で、2年間の第3相プラセボ対照比較試験(FREEDOMS試験)であり、もう1つはFTY720のアボネックスとの1年間の第3相比較試験(TRANSFORMS試験)、残りの1つはメルク社が開発する経口クラドリビン錠の2年間の第3相プラセボ対照比較試験(CLARITY試験)です。

これらの結果については以前にもご紹介していますが、いずれの試験においても有意な再発率の減少と疾患活動性の抑制が示されており、重篤な副作用が稀に見られるものの、インターフェロンに代わる可能性のある薬剤として非常に有望で期待されます。

いずれの薬剤も昨年末にアメリカやヨーロッパで承認申請が行われており、2年以内の発売を目指しています。

A Placebo-Controlled Trial of Oral Cladribine for Relapsing Multiple Sclerosis. NEJM. Published at www.nejm.org January 20, 2010 (10.1056/NEJMoa0902533)

Oral Fingolimod or Intramuscular Interferon for Relapsing Multiple Sclerosis. NEJM. Published at www.nejm.org January 20, 2010 (10.1056/NEJMoa0907839)

A Placebo-Controlled Trial of Oral Fingolimod in Relapsing Multiple Sclerosis. NEJM. Published at www.nejm.org January 20, 2010 (10.1056/NEJMoa0909494)


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by multiplesclerosis | 2010-01-22 08:47 | 文献

仙台MSセミナー医療講演会

f0183250_19123616.jpg1月16日に仙台MSセミナー医療講演会を仙台市の戦災復興記念館で行いました。
あいにくの寒波で悪路の中、88名の方に集まっていただき、講演会と交流会で盛り上がりました。

深澤先生の講演はMSの病態、検査、治療に関する基本的なお話が中心でしたが、深澤先生のMS診療に対する熱意がとてもよく伝わって感銘を受けました。患者さん一人一人と向き合い、それぞれにベストな治療法や療養方法をスタッフと一緒に考えていらっしゃる様子がよくわかりました。

また、再発や進行予防に治療薬以外の要素がとても大事であることを実例を紹介しながら強調されていて、私自身とても勉強になりました。

今回の講演会はMSの講演とNMOの講演を分けて行うことで、2つが異なる疾患であることを明確にしました。藤原先生がとても分かりやすくNMOの話をしてくれたので、MSとの違いがすっきりと理解できた参加者も多かったのではないかと思います。

交流会では東北大学病院、広南病院、東北厚生年金病院から10名ものMS専門医が集結してくれて無償で医療相談に応じてくれました。お陰で個別の質問にも十分に答えられたのではないかと思います。また、MS患者さん3人が受付をしてくれたのを始め、多くの方がボランティアでお手伝いをしてくれました。とても助かりました。皆様、どうもありがとうございました。

もし要望が多ければ同様の講演会を今年中にまた開催する方向で検討していきたいと思います。


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by multiplesclerosis | 2010-01-16 19:16 | 講演会報告

韓国における再発性脊髄炎

韓国では日本と同様にMSに対するNMOの比率が高いことが分かっています。
さらに、NMOと同じような長い病変を呈する横断性脊髄炎だけを繰り返す患者さんも多く、それらの多くが男性であることも分かっています。

そして、この再発性脊髄炎では抗AQP4抗体が陰性であり、視神経炎の合併もないことからNMOとは異なる病態機序が指摘されています。今回、ソウル大学校医学部のLee教授らが再発性脊髄炎の20例をまとめて報告しています。

あいにく当院では同じような症例の経験がないので、日本人における頻度については全くの不明ですが、ほとんど認識されてないように思います。

抗AQP4抗体の発見によってNMOが独立した疾患として確立したように、まだまだ多くの疾患がMSやOSMSには含まれており、これらの疾患が独立した概念として早く確立されていくことが望まれます。

男性における再発性の横断性脊髄炎は新たな疾患概念を強く考えさせられる貴重な報告です。

Kim SH, et al. Clinical characteristics, prognosis, and seropositivity to the anti-aquaporin-4 antibody in Korean patients with longitudinally extensive transverse myelitis. J Neurol. 2010 DOI 10.1007/s00415-009-5438-2


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by multiplesclerosis | 2010-01-09 09:54 | 文献

抗アクアポリン4抗体の病原性

昨年11月のGuthy-Jackson慈善財団主催のroundtableカンファレンスでUCSFのAlan Verkman教授が発表されたNMOの動物モデルの研究がBrainのon-line版で報告されています。これはイギリスのロンドン大学、オックスフォード大学、アメリカのUCSFの共同研究です。

以前のブログでも紹介しましたが、この研究はNMOにおける抗アクアポリン4抗体の病原性を証明するとても意義のある研究成果です。

この研究では、NMO患者の血清から抽出したIgGをヒト補体と同時にマウスの脳に直接接種することで、12時間後にはアクアポリン4の欠失を主体とするNMOの病変が形成され、7日後には病変由来の臨床症状を呈したと報告しています。

当然ながら、NMOでない人のIgGでは発症せず、アクアポリン4を欠損するマウスでも発症していません。また補体が同時に接種されなければ発症せず、補体がNMOの病変形成に不可欠であることを示唆しています。

これまで、NMOの病変を形成するには炎症を惹起する自己反応性のT細胞の存在が不可欠と考えられていましたが、抗アクアポリン4抗体と補体が中枢神経に存在するだけで病変が形成されることを証明しており、補体依存性ではありますが、抗アクアポリン4抗体単独の病原性が明確になりました。

今回の研究報告から更に明らかになったことは、NMOの治療ターゲットとして、1.抗アクアポリン4抗体の除去か産生阻止、2.補体の除去、3.抗アクアポリン4抗体の中枢神経への移行阻止の3つに重点をおくべきであるということだと考えます。

Saadoun S, et al. Intra-cerebral injection of neuromyelitis optica immunoglobin G and human complement produces neuromyelitis optica lesions in mice. Brain Advance Access published on January 4, 2010.


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by multiplesclerosis | 2010-01-05 09:53 | 文献

iPhoneのMS用のアプリケーション

あけましておめでとうございます。
今年もできる限り有用な情報を記載していきたいと思います。
よろしくお願いいたします。

f0183250_2159615.jpgアメリカのペンシルベニア州にあるElite Circle Computingという会社を経営するMS患者のDavid Wardenという人が、iPhone用のi-Inject という名前のアプリケーションを開発して発売しています。iPod touchでも使えます。

i-Inject はMSのあらゆる治療法に対して補助的に使えるアプリケーションで、注射部位のローテーションの記録や、注射日の通知、投与量の記録や医療機関や薬剤師への電話番号表示などが盛り込まれているようです。ベタフェロンダイアリーやアボネックスダイアリーの代わりになるアプリとして便利そうです。

値段は$14.99だそうですが、当然すべて英語表示です。よほど英語が堪能でなければ使いづらいとは思いますが、iPhoneやiPod touchをお持ちの方は試してみてはいかがでしょうか?

iPhone Application Designed for Multiple Sclerosis Patients is Launched


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by multiplesclerosis | 2010-01-01 22:02 | ニュース
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