HOME > 多発性硬化症治療学寄附講座ブログ

<   2009年 04月 ( 5 )   > この月の画像一覧

左利きは多発性硬化症になりやすい?

MSの疫学研究で有名なハーバード大学のAscherio教授のグループが面白い論文を今月のMultiple Sclerosisに発表されています。

f0183250_19461429.jpg全米で登録された121,701人の看護師に対し1976年から2002年まで追跡された看護師健康調査のデータを元にしています。すべての看護師に利き手(右利き、左利き、両利き、右利きに矯正)を聞き取りし、調査期間内にMSを発症した210人について解析されました。

これによると、左利きの看護師は、右利きの看護師と比較し、62%発症リスクが増加しているとことが明らかになりました。

利き手に関しては、胎児期における性ホルモンの暴露との関連が指摘されているようですが、こうしたホルモンの暴露とMS発症リスクに関係あるかどうかは全く分かっていません。

個人的には、当院に通院中のMS患者さんで左利きの患者さんは思い当たりません。日本人では右利きに矯正している方が多いでしょうから、きちんと調べれば差が出るのかもしれません。

Gardener H, et al. The relationship between handedness and risk of multiple sclerosis. Mult Scler. 2009 May;15(5):587-92.


[PR]
by multiplesclerosis | 2009-04-26 12:39 | 文献

視神経脊髄炎の髄液マーカー

当講座の三須、高野らによる解析で、再発時急性期の視神経脊髄炎(NMO)の髄液中では、glial fibrillar acidic protein (GFAP)と呼ばれる、アストログリアに局在する中間径フィラメントを構成する蛋白質が異常に増加していることを突き止め、その研究成果がJournal of Neurology Neurosurgery and Psychiatryに記載されました。

このGFAPの増加は急性期に著しいものの、ステロイドパルス治療をすることで速やかに減少し、正常レベル近くまで低下します。

f0183250_7492867.jpgまた、GFAPの増加の程度は、その症例の重症度や、脊髄病変の長さなどと有意に相関し、病変の障害の程度をそのまま反映していると考えられました。

このGFAPの上昇は、NMO以外でも脊髄梗塞の急性期で認められましたが、多発性硬化症(MS)の急性期では全く増加せず、NMOとMSが全く異なる疾患であることを証明しています。つまり、MSが脱髄を主体とした病態であるのに対し、NMOはアストロサイトの障害が主体であることを表しています。

Misu T, Takano R, et al. Marked increase in cerebrospinal fluid glial fibrillar acidic protein in neuromyelitis optica: an astrocytic damage marker. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2009 May;80(5):575-7.


[PR]
by multiplesclerosis | 2009-04-20 21:44 | 文献

日本神経学会市民公開講座

多発性硬化症とは直接関係ありませんが、5月23日(土)に仙台国際センター・メインホールで市民公開講座が開催されます。テーマは「身近な脳と神経の病気を良く知ろう」となっています。
どなたでも聴講可能ですので、興味のある方はぜひお申し込みください。

http://www2.convention.jp/neuro50/lecture.html

プログラム

司会 糸山 泰人 東北大学大学院医学系研究科神経内科学分野 教授

「脳卒中を予防し、治そう」
演者 冨永 悌二 東北大学大学院医学系研究科神経外科学分野 教授

「神経内科とは?―その病気いろいろ―」
演者 田代 邦雄 北海道大学名誉教授/北祐会神経内科病院 顧問

「パーキンソン病になったら」
演者 水野 美邦  順天堂大学名誉教授/順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院 院長

1,000名様無料ご招待
申込締切:2009年5月8日(金)


[PR]
by multiplesclerosis | 2009-04-18 00:00 | 講演会情報

マクドナルド診断基準の改訂が始まる

MSの診断基準として国際的に治験や臨床研究に広く用いられているマクドナルドの診断基準(McDonald Criteria)が今年から来年にかけて2度目の改訂が行われることになり、藤原がこの基準の国際委員会(International Panel)のメンバーとして改訂作業に参加することになりました。

今回の改訂のポイントは以下の2つです。1つ目の課題は、これまでの診断基準の中で注目されていなかった特異な患者群(Special populations)をどう扱うかです。これはおそらく最近MSとの相違が明確になってきた視神経脊髄炎(NMO)や成人のMSと異なる特徴を持つ小児のMSなどが取り上げられることになるでしょう。2つ目の課題は、MSの各臨床病型の定義と予後に関するMRI所見や他の基準を検討することです。

これから改訂の準備作業が徐々に始まり、来年春に国際委員会の会合で問題点を議論して最終的な文章をまとめあげることになります。

他の国際委員会のメンバーはすべてヨーロッパとアメリカ、カナダの専門家です。したがってNMOは間違いなく取り上げられると思いますが、それ以外にMSとしての本質は変わらないにしても欧米のMSと異なる日本人やアジアのMS症例の特徴などを若干でも盛り込むことになるかどうかは現時点ではわかりません。(例えばマクドナルドの診断基準の中のMRIの基準はヨーロッパのMS症例をもとに作られており、これが日本人のMSでも同様に有用かどうかは明らかではありません。)

しかしとにかく日本やアジアの声を反映させることは大事だと考えています。ご意見、ご提案があればどうぞご連絡ください。


[PR]
by multiplesclerosis | 2009-04-07 20:14 | ニュース

アレムツズマブの世界での販売権と開発権

ドイツ・バイエル ヘルスケア社は、3月31日にジェンザイム コーポレーション社(マサチューセッツ州ケンブリッジ)との新たな戦略的提携に合意したとプレスリリースを行いました。

この契約により、バイエルは、アレムツズマブの開発権及び販売権を含む血液がん関連製品の権利をジェンザイムへ供与/返還するとしています。

ただし、既に実施されているアレムツズマブの多発性硬化症を適応症とした共同開発は継続し、同剤の開発が成功し、アレムツズマブの多発性硬化症への適応が承認された場合、バイエルは、この適応症におけるアレムツズマブの世界での共同プロモーション権を行使するとしています。

Campathアレムツズマブは、米国でB細胞性慢性リンパ性白血病(B-CLL)の単剤療法として承認されている薬剤で、細胞表面に存在するCD52抗原に選択的に結合するヒト化モノクローナル抗体です。アレムツズマブが結合した細胞が人体の免疫システムにより破壊されると考えられています。MSの再発予防に対する効果が期待されており、欧米において臨床試験が継続中です。

今回の契約がMSへの適応拡大に向けた現在の開発に影響することはないようですが、今後は日本における臨床試験の導入に向けて両社には頑張っていただきたいと願うばかりです。

独バイエル ヘルスケア社、米ジェンザイム社と新たな戦略的提携へ


[PR]
by multiplesclerosis | 2009-04-02 07:35 | ニュース
このページの先頭へ

,

ブログトップ

S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

カテゴリ

以前の記事

検索

タグ

その他のジャンル

ツイッター

アクセスカウンタ

記事ランキング

Copyright �2008. Department of Multiple Sclerosis Therapeutics,Tohoku University Graduate School of Medicine. All Rights Reserved.