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札幌MSナースハンズオンセミナー報告

 去る9月13日(土)に札幌で多発性硬化症ナースハンズオンセミナー(共催:MSハンズオンセミナー/バイエル薬品(株))が開催されました。道内外から50名を超える参加者があり、私たちも今年の11月に仙台で開催するセミナーの準備のため見学させていただきました。このセミナーのアドバイザーは医療法人セレス さっぽろ神経内科クリニック院長・理事長の深澤俊行先生、総合司会は同クリニック看護部長の西山和子さんでした。
 はじめにバイエル薬品から看護師がチェックすべきベタフェロン自己注射の注意点(注射針を注射器に装着した時に薬液を針先から押し出さない、注射針はまっすぐ根元まで刺入する、薬液を注入したあと数秒間待ってから注射針を抜く等、注射部位反応を予防するためのポイント)について説明がありました。次に中村記念病院と市立札幌病院の神経内科の看護師さんからMSやベタフェロン注射に関する看護の現状と問題点について発表がありました。さらにMSのQOLのさまざまな問題点(札幌市立大学看護学部 菊地ひろみ先生)や家庭でできるMSのリハビリの実際(北祐会神経内科病院リハビリテーション課 中城雄一先生)についてわかりやすく解説がありました。これらの発表はいずれも現場におけるMSの看護支援のありかたを考える上で大変参考になりました。最後に医療ジャーナリストの中山あゆみさんからMSの取材を通して感じたことについてお話があり、患者さんを支える家族の大切さ、またいつでも相談でき、心配してくれる医師や看護師がいることが患者さんにとって大きな安心となることなどを学びました。
 大変中身の濃いプログラムであっという間に予定の2時間が過ぎてしまいましたが、この会から学んだ多くのことを来る仙台でのセミナーにぜひ生かしたいと思います。
東北大学病院西11階病棟(神経内科) 看護師 松崎敦子、佐々木夫起子

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by multiplesclerosis | 2008-09-30 15:19 | 講演会報告

WCTRIMS報告 by 西

 先日カナダ・モントリオールにて行われました、第1回多発性硬化症の治療と研究に関する世界会議(World Congress of Treatment and Research in Multiple Sclerosis: WCTRIMS)に参加してきましたのでご報告します。

 モントリオールは幼少時一度家族で訪れたことがありました。カナダはケベック州だけ公用語がフランス語、その他の州は英語なのですが、ケベック州に入ると突然道路標識がフランス語になります。当時の記憶を辿ると、英語で話しかけるとフランス語で返されたり、観光案内所で聞いた道順も一方通行で通れない道があったりと、どちらかと言うと辛い思い出が蘇ります。今回はいわば、「モントリオール・リベンジ」と言ったところでしょうか。

 いざモントリオールについてみると、以前より大きなビルが立ち並び、通りにも活気があります。日本ではまだ残暑厳しい9月ですが、モントリオールではすでに秋真っ只中。まだ紅葉には少し早いとは言え最低気温が一桁台、朝晩にはジャケットが必要でした。ちなみに、ホテルやレストランなどで英語で話しかけても、ちゃんと英語で話をしてくれました。

 会場となったモントリオール国際会議場には連日非常に多くの参加者がおり、世界にはこれだけMSを研究している人がいるということにまず驚きです。会の公用語は一応英語なのですが、AANと違いどちらかというと英語が公用語ではない国からの参加者が多かったと思います。そのためかセッション中アンニュイ英語や巻き舌英語が聞こえ、聞き取りづらい反面、お互い相手の発言を聞こうと努力しようとする姿勢が感じられました。特に盛況だったのはNMOのセッションです。ウィーン大学のHans Lassman教授によるAQP4AbとEAEに関する発表(当科との共同研究)や、Mayo Clinicの Dean Wingerchuk先生によるNMO治療の総説などがインパクトを与えていました。CD-ROMのAbstractだけではわかりづらかったり情報が追加されていたりと、会に参加し実際に講演を聞くことの重要性を感じました。

 その他のセッションやポスター発表で興味を持ったものをご紹介します。現在のMRI技術では正常と描出される部分でも病理学的には異常をきたしていることが多く、その描出を工夫しようとしていた発表の着眼点が面白く、今後臨床でも使えるレベルまでぜひ高めてほしいと思います。また、今後MS研究において重要となるだろう10個のキーワードを示した発表も、我々の研究に生かせそうな内容でした。

 今回私自身も、はじめての海外でのポスター発表を経験させていただきました。私の発表はcase reportのため、並んでいる他の発表とはやや趣向の違うものでした。どのくらいの先生が見に来てくれるのかとても心配でしたが、蓋を開けてみるとLassman教授の発表の件もあってか、非常に多くの先生方に貴重なご意見やアドバイスを頂きました。

f0183250_2014344.jpg モントリオールには、中島先生が留学されていたマギル大学のラボがあり、その縁で色々な施設の先生方とも一緒に行動する機会を得ました。私のような、MDでありながらPhDを取得する環境は他の国も大方同じのようで、限られた時間内での研究や収入面などの問題を議論できたのは大変有意義でした。日本での臨床研究は、通常業務終了後に行われるため実質的には大学病院などの限られた施設に限定されてしまっています。他国の研究者の話を聞くと、研究面で素晴らしい実績を収めている一方、趣味や家族サービスの面も十分できるだけの時間的余裕があるようです。このような話を聞いていると、私自身もいずれ留学してみたいという気持ちになります。

 わずか5泊6日の滞在期間でしたが非常に濃密な時間を過ごしました。この経験を今後の研究や診療に還元できるよう頑張りたいと思います。

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by multiplesclerosis | 2008-09-26 20:15 | 学会報告

ダ・ビンチ賞

全米多発性硬化症協会が2001年から始めたThe da Vinci Awardというのがあります。障害を持つ人たちが社会参加するために役立つ革新的な技術や研究に対して贈られる世界的にとても栄誉ある賞です。
今年は9月20日にミシガン州のディアボーン(フォード社の本拠地)のリッツカールトンホテルで授賞式があり、日本のヤマハ発動機の手動車イス用電動補助ユニットが日本企業として初めて受賞しました。f0183250_21324161.jpg
電動ハイブリッド自転車PASに採用されているシステム「パワーアシストシステム」を車イスに応用し、平地走行、漕ぎ出しや坂道の上り下りなど負荷の違いに応じてコンピューターが電気モーターの力を瞬時に制御し、あたかも誰かが後押しをしてくれているような軽さとなめらかさでハンドリムを操作することが出来るそうです。(ヤマハ発動機ウェブサイトより引用)
日本の企業によるバリアフリーな社会づくりへの貢献が認められて、今回のように表彰される機会がもっと増えるといいですね。
中島
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by multiplesclerosis | 2008-09-25 21:24 | ニュース

WCTRIMS学会報告

2008年9月17日~20日にカナダのモントリオールで開催された第1回多発性硬化症の治療と研究に関する世界会議(World Congress of Treatment and Research in Multiple Sclerosis: WCTRIMS)に参加してきました。今回のWCTRIMSは、第24回ヨーロッパ会議(ECTRIMS)、第13回アメリカ会議(ACTRIMS)、第5回ラテンアメリカ会議(LACTRIMS)を兼ねており、世界中から約3500人のMS研究者が集まって、約1000題の一般演題と35題の教育講演、約40題のサテライトシンポジウム講演が発表されました。
演題内容は治療に関するものが多いですが、基礎実験や検査法に関するものも含まれます。

今回の会議で印象的だったのは視神経脊髄炎(NMO)のセッションが盛況だったことと、メーカー共催のサテライトシンポジウムが多かったことでした。NMOのセッションではドイツのハンズ・ラスマン教授が東北大学との共同研究による動物モデルの実験結果を発表され強いインパクトを放っておりました。Mayoクリニックのディーン・ウインガチェックによるNMOの治療法のまとめは非常にわかりやすく良くまとまっていました。

MSの治療に関しては、Natalizumab(Tysabri)に関する報告が多く、特に進行性多巣性白室脳症(PML)の合併に関して多くの報告が見られました。インターフェロン(ベタフェロン、アボネックス、レビーフ)に関する長期投与の有用性に関する発表も多く、特にベタフェロンに関しては16年間の長期投与の有用性と安全性について報告され、多くのメディアでも取り上げられていました。

今後の治療に関する注目としては、モノクローナル抗体治療と経口薬の開発が挙げられます。抗体治療の中ではAlemtuzumab(Campath)が、インターフェロンβ-1a(Rebif)との比較第2相試験において圧倒的な有効性を示したことで、世界的な第3相試験に向けて大きく動き出したことが印象的でした。残念ながら日本における治験の動きはまだありません。

MSの病態におけるB細胞の役割も注目されています。特にRituximab(Rituxan)によって末梢血のB細胞をなくすと病態が良くなることが示され、新たなB細胞を標的とした治療法としてAtacicept(TACI-Ig)も大いに注目されていました。現在数種類(プラセボ比較試験、インターフェロン比較試験など)の第2相試験が進行しているようです。

FTY-720(fingolimod)をはじめとするいくつかの経口薬の多くも第2相試験でいい結果を出しており、第3相試験の結果が非常に楽しみです。FTY-720は日本でも第3相試験が進行しています。

約半年ぶりのモントリオールでしたが、とても充実した訪問になりました。留学していたラボのミーティングにも参加し、今後の共同研究に関してもいいディスカッションができました。留学中に知り合った多くの研究者にも会うことができ、改めて人のつながりの重要性を感じました。中
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東北大からの参加メンバー、留学先のラボのメンバーとイタリアンレストランで
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by multiplesclerosis | 2008-09-23 22:57 | 学会報告

多発性硬化症に対するタイサブリの治療効果

Neurologyの今月号にNatalizumab (Tysabri)の多発性硬化症に対する治療効果のまとめが報告されています。Tysabriは再発寛解型の多発性硬化症の活動性と重症度の改善をもたらしました(レベルA)。これまでのインターフェロンなどの免疫調整剤(Disease Modifying Therapy)よりも効果があるとの結論は出せませんでした(レベルU)。2次進行型多発性硬化症に対する有用性も不明のままです(レベルU)。インターフェロンとの併用効果も不明です(レベルU)。Tysabri投与によって進行性多巣性白室脳症(PML)の発症リスクが高まります(インターフェロンとの併用でレベルA、単独治療でレベルC)。他の感染症を合併するリスクも高める可能性があります(レベルC)。これまでの臨床試験を統合して解析すると、PMLの発症リスクは平均17.9か月の治療期間において1000人に1人の割合であると推察されます。
この論文は先日AANから発表されたTysabriの使用ガイドラインの元になっているものです。レベルA,B,C,Uは米国神経学会議(AAN)による信用(推奨)レベルの程度を示します。中

Goodin DS, et al. Assessment: the use of natalizumab (Tysabri) for the treatment of multiple sclerosis (an evidence-based review): report of the Therapeutics and Technology Assessment Subcommittee of the American Academy of Neurology. Neurology. 2008 Sep 2;71(10):766-73.
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by multiplesclerosis | 2008-09-13 15:41 | 文献

第8回 仙台MSセミナー

第8回 仙台MSセミナー
日 時:平成20年10月17日(金)19:00より
場 所:ホテル仙台プラザ


【一般演題】              19:00~19:20
座長  東北大学 多発性硬化症治療学 教授 藤原 一男 先生
『グリア細胞によるB細胞活性化の解析~MS中枢神経での抗体産生機序の解明~』
東北大学病院 神経内科 院内講師 中島 一郎 先生

【特別講演】                   19:25~20:25
座長   東北大学 神経内科 教授  糸山 泰人 先生
『髄液から眺めた多発性硬化症』
金沢医科大学 脳脊髄神経治療学(神経内科学)教授 松井 真 先生


* 医療従事者・医学生向けの講演会です
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by multiplesclerosis | 2008-09-12 00:44 | 研究会情報

視神経脊髄炎におけるリツキサン治療

Archives of Neurologyのオンラインで、Mayo Clinicのグループから視神経脊髄炎(NMO)に対するリツキシマブ(リツキサン)治療に関する論文が発表されました。
アメリカとイギリスの多施設での後ろ向き研究で、25例のNMOに対する治療効果を解析しています。この中にはUCSFからすでに報告された7例の経過も含まれています。
平均19か月の経過観察において、年間再発率の中央値が治療開始前の1.7(0.5-5の範囲)から0(0-3.2の範囲)に減少しています(p<0.001で有意な減少)。障害度は80%の20例で改善もしくは安定しています。経過中2例が亡くなり、1例は脳幹病変の再発により、1例は敗血症疑いだったようです。20%の症例でなんらかの感染症の合併が報告されています。
リツキサンによりNMOの再発率は有意に減少し、症状の安定もしくは改善にも効果があるようです。中

Jacob A, et al. Treatment of Neuromyelitis Optica With Rituximab: Retrospective Analysis of 25 Patients. Arch Arch Neurol. 2008 Nov;65(11):1443-8
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by multiplesclerosis | 2008-09-11 18:59 | 文献

ナタリズマブの治療ガイドライン

米国神経学会議(AAN)がナタリズマブの治療ガイドラインを発表しました。
ナタリズマブ(商品名:タイサブリ)は、α4インテグリンというタンパク質に作用するモノクローナル抗体で、2004年11月に米国食品医薬品局(FDA)によって多発性硬化症治療に認可されました。
ところが、2005年2月に臨床試験中でインターフェロン併用中の多発性硬化症2例とクローン病の1例で進行性多巣性白質脳症(PML)の合併が確認されたために承認が一旦取り下げられました。
その後、大規模な安全確認試験が行われ、2006年6月に単独使用に限って使用が認められ、現在までに全世界で39,000人以上の患者さんに投与され、劇的な効果がもたらされています。
2007年8月25日にヨーロッパからナタリズマブ治療中の多発性硬化症患者における新たなPML発症の報告が2件あり、FDAが使用に関しての注意文章を発表しています。これに従い、American Academy of Neurology(AAN)では多発性硬化症治療におけるナタリズマブ使用に関して新たに治療ガイドラインを作成し、9月1日にホームページ上で公開しました。
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by multiplesclerosis | 2008-09-01 18:04 | ニュース
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