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早期多発性硬化症におけるアレムツズマブとレビーフの比較試験

アレムツズマブAlemtuzumab(別名 Campath-1H)は、人のリンパ球や単球、精子細胞上などにあるCD52という抗原に対して人工的に作られた抗体で、CD52を発現する細胞を枯渇させます。すでに移植片対宿主病や慢性リンパ性白血病の治療に使われており、著しい効果をもたらしています。

この試験(第2相CAMMS223試験)は、多発性硬化症を発症して3年以内、EDSS重症度スコアが3.0以下の334例に対して無作為にアレムツズマブ高容量群、低容量群、レビーフ(インターフェロンβ-1a:週3回皮下注)群に分け、3年間の追跡調査をしています。

結果は、驚くべきもので、障害の蓄積頻度や年間の再発頻度をレビーフよりも70%も低下させたばかりでなく、3年後の障害度を投与前よりも改善させ、MRIの病変面積をも縮小させたのです。この効果はタイサブリと同等以上であり、現在の治験薬の中で最も効果が期待できる薬剤のひとつと言えます。

しかしながら、この治験中に実に20%もの患者さんが自己免疫性の甲状腺障害を併発し、3例では重症の血小板減少性紫斑病を合併してうち1例が死亡しました。このことを受けて2005年9月にアレムツズマブの投与は中止となり、レビーフ群のみが継続しました。その後の報告も合わせて、6例で血小板減少性紫斑病が発症していますが、死亡した1例以外は治療により回復しています。

2007年5月には投与前検査によるリスク症例へのアレムツズマブ投与回避の対策が取られて試験が再開されていますが、感染症などのリスクもかなり高いようです。

現在世界的規模で同じ比較試験が第3相試験として進行中ですが、残念ながら日本ではレビーフの使用が承認されておらず、参加することができません。果たして安全性の問題が克服できるのか、非常に注目されます。

CAMMS223 Trial Investigators, Coles AJ, Compston DA, Selmaj KW, Lake SL, Moran S, Margolin DH, Norris K, Tandon PK. Alemtuzumab vs. interferon beta-1a in early multiple sclerosis. N Engl J Med. 2008 Oct 23;359(17):1786-801.
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by multiplesclerosis | 2008-12-07 22:31 | 文献
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