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土浦多発性硬化症医療講演会の報告

f0183250_1611314.jpg 昨日(平成22年7月25日)午後に茨城県土浦市(土浦駅前のホテルグリーンコア)でMSキャビンと共催の医療講演会を開催しました。外はとても暑かったのですが、50名以上の方々が参加者してくださいました。

はじめにMSキャビンの中田郷子さんの司会でシンポジウムとしてMSとNMOの病態、症状や治療などについて筑波大学神経内科の玉岡 晃先生と二人で解説しました。玉岡先生はMSの病態や臨床症状についてビデオやスライドでわかりやすく解説されました。私は主にNMOの特徴について述べました。

そのあと玉岡先生の司会で私がMSとNMOの研究状況ということで最近の知見を紹介しました。MSとNMOいずれにおいても早期診断と治療が長期予後の改善という観点から重要であることをお話ししました。MSでは、初発時(CIS[シーアイエス]と呼ばれています)、たとえば視神経炎で発症した時の脳MRIでMSらしい脳病変が1個以上あると、無治療ならばその後80%の症例は再発が起こり臨床的に確実なMSに移行することがわかっています。またCISの時点で脳MRIのT2高信号病変が多いほど、自然経過では20年後に歩行に介助を要する症例の割合が高くなるというデータもあります。

会の中ではいろいろなご質問をいただきました。その中でNMOにおけるリツキシマブによる治療についてのご質問がありました。リツキシマブはBリンパ球の表面にあるCD20という分子に対するモノクローナル抗体で、この薬を数カ月毎に点滴静注することにより末梢血中のBリンパ球はほぼ消失します。それに伴いNMOの再発がほとんどなくなった症例が報告されており、また他の免疫抑制剤が無効だった場合でもこの薬が有効な例がかなりあるといわれていますので有効性の高い治療法といえます。欧米ではMSにおいても有効性が報告されています。一方、Bリンパ球がほとんどゼロになってしまうので、時に重症の感染症が起こることがあり、また長期的には悪性腫瘍の発生率が高くなる可能性もあります。すなわち長期的な安全性についてはまだ十分明らかにはなっていないのが実情です。さらに日本では、悪性リンパ腫の治療薬としては承認されていますが、NMOやMSの治療薬として保険適用になってはいませんので、その高額な治療費をどうするかも大きな問題です。この薬をわが国の臨床現場でどうやって使えるようにしていくかはこれからの課題です。

玉岡先生、また会場の設営や運営に携わっていただいたMSキャビンの皆さん、ボランティアの皆さんに心から感謝いたします。(藤原)


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by multiplesclerosis | 2010-07-26 16:09 | 講演会報告
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