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イブジラスト(MN166)の神経保護作用

イブジラスト(MN-166)の再発寛解型多発性硬化症に対する1年間のプラセボ対照無作為割当二重盲検試験(フェーズ2)の結果がNeurologyに発表されました。

異なる2つの用量(30mgと60mg)と偽薬の3群にわけての1年間の解析で、1次評価として毎月の脳MRIにおける新規病変の出現数を比較しています。2次評価では年間再発率、重症度の変化、T2病巣面積の変化、T1病巣面積の変化、脳萎縮の進行を比較しています。

結果として、脳MRIにおける新規病変の数、年間再発率、重症度の変化、T2病巣面積の変化では各群に差はなく、イブジラストによる再発抑制効果は明らかではありませんでした。

一方、T1強調画像でブラックホールに至る活動性病変の割合や、脳萎縮の進行の程度には有意差があり、イブジラストの効果の可能性が示唆されています。

さらに、2年間での解析では、イブジラスト服用群で重症度が進行しない症例の数が多かったと報告しています。

イブジラストは再発抑制よりも、脳萎縮につながる神経変性をいくらか予防できる可能性があり、今後症例数を増やしたフェーズ3の臨床試験による解析が必要だとしています。

日本でも古くから脳梗塞後遺症や気管支喘息などに対する治療薬として用いられており、その安全性は確立している薬なので、少しでも効果があるのであれば補助的な薬としてとても有用と思われます。

Barkhof F, et al. Ibudilast in relapsing-remitting multiple sclerosis. A neuroprotectant? Neurology. 2010 Mar 3. [Epub ahead of print]


by multiplesclerosis | 2010-03-07 10:36 | 文献
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