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抗アクアポリン4(AQP4)抗体の存在意義

視神経脊髄炎(NMO)では血清に抗アクアポリン4(AQP4)抗体が存在していますが、その意義はまだ明らかになっていません。おそらく、AQP4を豊富に発現しているアストロサイトを直接攻撃する作用を示し、NMOの病態におけるアストロサイト障害に関与していると思われますが、壊れたアストロサイトからはがれたAQP4に対して非特異的に生み出された抗体である可能性も否定できていませんでした。

ところが、当院で加療した視神経脊髄炎(NMO)の患者さんで、偶然にも発症の10年前の血清が保管されていた患者さんがいらっしゃり、その10年前の血清中の抗AQP4抗体を検索したところ陽性であることが判明しました。

このことは、抗AQP4抗体が、NMOの発症によって2次的に生み出されたものではものではなく、発症そのものに関わっている可能性を強く示唆しています。また、抗AQP4抗体が陽性であっても、それだけではNMOを発症せず、発症や再発には別の要因が加わることが必要であることが示唆されました。

この症例の報告は雑誌Neurologyの今週号に記載されています。

Nishiyama S, et al. A case of NMO seropositive for aquaporin-4 antibody more than 10 years before onset. Neurology. 2009 Jun 2;72(22):1960-1.


by multiplesclerosis | 2009-06-06 20:59 | 文献
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