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多発性硬化症における癌発症リスク

スウェーデンのカロリンスカ大学のグループが約2万人のMS患者と約20万人のMS以外の一般市民を比較して癌発症のリスクを解析し、本日発行のNeurologyで報告しています。

平均35年間の観察期間において、MS患者は一般市民と比較して、約10%の癌発症リスク低下が認められました。MS患者はMSと診断後に生活習慣を改善することで癌発症リスクが軽減する可能性があり、また、治療によって癌発症にかかわるメカニズムが抑制されている可能性もあると考察されています。

いずれにせよ、MSであることや、MSの一般的な治療によって癌の発症リスクが高まることはないと言えそうです。

また、この調査ではMS患者の両親についても解析されており、親における癌発症リスクは一般市民と差がなく、MS患者の癌発症リスクの低下は遺伝的な要因はないとしています。

一方で、脳腫瘍や膀胱癌の発症リスクはMS患者において一般市民より高かったようですが、MSにおいて脳や膀胱は頻繁に検査を受ける部位であり、早期発見の確率が高いためと推察しています。

Bahmanyar S, et al. Cancer risk among patients with multiple sclerosis and their parents. Neurology 2009; 72: 1170-1177


by multiplesclerosis | 2009-03-31 12:28 | 文献
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