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再発寛解型MSに対する造血幹細胞移植

これまで、造血幹細胞移植は活動性の非常に高い進行型の多発性硬化症に対して行われる傾向にありましたが、最近は重症度の低い患者さんにも適応が広がっているようです。

造血幹細胞移植は、強力な免疫抑制剤(シクロフォスファマイド)などで末梢血中のリンパ球を減らして骨髄を刺激し、骨髄から血中へ造血幹細胞を誘導します。この時点で血液浄化を行って末梢血の造血幹細胞(CD34陽性細胞)を回収します。投与までの間、細胞は冷凍保存されます。その後、さらに強力な免疫抑制を行い、CD52モノクローナル抗体なども用いて末梢血のリンパ球をほぼ消滅させたのち、保存してあった造血幹細胞を体内に戻し、新しい免疫システムを構築させる治療法で、白血病などでよく用いられるものと同じ方法です。

シカゴのノースウエスタン大学のグループはインターフェロン治療が無効の21例の再発寛解型MSにこの造血幹細胞移植を行い3年間における有効性と安全性を解析し、Lancet Neurologyの電子版に発表しています。

3年間で、81%の症例がEDSSで1点以上の改善を認め、EDSSが悪化した症例は1例もありませんでした。認知機能やQOLは治療前よりも改善し、合併症も対処可能なもののみで致死的なものはありませんでした。驚くことに62%の症例は、3年間再発がなかっただけでなく、MRIの病変すら現れませんでした。

造血幹細胞移植では強い免疫抑制によって一度末梢血のリンパ球を壊滅させる必要があるため、感染症のリスクは非常に高く、致死率が3.3%ある治療ではあるのですが、モノクローナル抗体などを組み合わせたプロトコールの改良によってより安全に行えるようになると、非常に有望な治療法になることは間違いありません。

Burt RK, et al. Autologous non-myeloablative haemopoietic stem cell transplantation in relapsing-remitting multiple sclerosis: a phase I/II study. Lancet Neurol 2009 doi:10.1016/S1474-4422(09)70017-1
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by multiplesclerosis | 2009-01-31 23:56 | 文献
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