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MS発症前に無症候性脳病変を見つけたら?

日本は世界で最もMRIが普及している国の一つですが、頭痛や外傷など、別の理由で撮像された頭部MRIで偶然多発性硬化症(MS)によると思われる病変を見つける機会も増えてきています。

世界で最も大きなMSセンターの一つであるカリフォルニア大学サンフランシスコ校のMSセンターで、偶然MSを強く示唆するMRI病変が見つかった人たちの自然経過を解析し、MRIによる発症前診断の有用性を報告しています。(ちなみに彼らはこの状態をRadiologically isolated syndrome:RISと呼んでいます)

これまでに44人の方が偶然にMRIでMSを強く示唆される病変が見つかり、そのうち41人がMRIの再検を受け、30人は臨床経過が観察できています。MRIの再検をうけた人のうち59%はその後もMRI病変の進展を認めました。しかしながら、臨床経過が追跡できた30人のうち、MSとしての臨床症状を発症したのはわずかに10人で、発症までに平均5.4年(1.1~9.8年)かかっていました。

最初のMRIで造影病変が存在していた症例は比較的新規のMRI病変を認めやすく、MSを発症しやすい傾向にあったようです。

今後、このように偶然にMRI病変をみつけた人に対する治療開始の是非が議論されることになるかと思いますが、現時点では発症まで慎重に経過を観察し、予防的治療はしないという意見が強いようです。当院でもまれに脳ドックなどで偶然MS様の病変を指摘されて紹介されてくる患者さんがいますが、今のところ積極的な治療をすることはありません。

Okuda DT, et al. Incidental MRI anomalies suggestive of multiple sclerosis. The radiologically isolated syndrome. Neurology 2008, doi:10.1212/01.wnl.0000335764.14513.1a
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by multiplesclerosis | 2009-01-12 19:52 | 文献
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